拝啓 広島市長様

 

初めてお便りいたします。

私は、2011616日、被爆者と松井市長のお話を伺い、思うところがありましたので筆を執りました。

 

 私は一昨年まで他県で医師をしておりました。そこにも広島からの患者様がおられました。被爆者の方は被爆者健康手帳があり、特定の疾患に罹病したら、手当を受けることができるのです。私は県外にあっても、これまで多くの申請を行ってきました。病気に対して正しい手続きをとることを嫌だと思ったことは一度もありません。しかし、近年、ごく一部の被爆者の方々の理不尽な要求のために大きな弊害が起こっています。そのうち最も多いのは、「原爆と関連のない疾患に罹病しても関連のある病気として病名を書いてほしい」と要求してくることです。それを断ると何時間でも病室にとどまるので、医師は他の仕事ができません。彼らの問題として、社会常識からは理不尽な要求と思われることでも彼らから見て生活に必要なこと、正しいことだと思い込んでいる節があります。

 

 このことを他の医師に相談したところ、関東地方出身の医師も同様の経験をしており、被爆者との対応が本当に嫌になったと発言しておりました。一部の被爆者が理不尽な要求をすることで、他県の者からは被爆者そのものが増長していると思われているのも事実なので、その時は何も反論できませんでした。

 

どうしてこのようになったのでしょうか。こんなはずではなかったのに。本当の被爆者を知っている私はとても悲しい気持ちです。松井市長のお話にあったとおり、「感謝の気持ちを忘れる」からでしょうか。「広島県の常識は他県の非常識」だからでしょうか。おそらくその両方でしょう。

 

今回の松井市長のお話は決して間違ってはいないと考えます。他県の者から見て理不尽な習慣がまかり通っていたら、広島はいつまでも他県民から相手にされない地域になると思います。どうかお志を曲げない市長であってください。    敬具

 

 



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